カイ・ニールセン Kay nielsen
(1886−1957)

 カイ・ニールセンは優れた色彩と装飾感覚を持ち合わせたアーティストであり、際立って幻想的な絵を描ける作家である。彼の挿絵の入った古書は、今日ではその人気と発行部数の少なさでコレクターたちの間で高額で取引されている。  一生を通して東洋への興味を持ちつづけ、中近東やペルシャのデザイン、ロココのモチーフを取り入れたり、ビアズリーの点描の影響も受けている。

 この神より祝福されたデンマークのアーティストは、1886年3月12日に、コペンハーゲンに生まれた。
 1904−11年、パリのコロラッシとアカデミー・ジョリエで学ぶ。 1911年にロンドンに移り住み、彼の才能は開花する。最初の個展では、その才能は彼にしかない独自のものであると高い評価を受けた。知力にあふれた表現は、全く初めて眼にされるものであり、フェアリーの世界の描写はラッカムのそれより明るかった。この批評家たちの良評判は(後に彼の代表作を作るようになる)Hodder&Stoughton出版社への耳へも届いた。
 最初の本は「In Powder and Crinolin(邦題:面白スカート)」と名付けられ、1913年に出版された。
 1936年、妻と初めてのアメリカ旅行をし、すっかりアメリカが気に入ったニールセンは、2年後には、L.Aへの移住を決意し、実行した。ハリウッドと映画の世界の近郊に住み、ディズニーのファンタジアのセット・デザイナーとして、時折雇われたが戦争を機に彼の名は忘れられ、生活費のために養鶏場で働いた。
 転機は1942年にやってくる。巨大な高校の壁画の仕事が舞いこんだのだ。その壁画は後に「アメリカの最も美しい壁画の一つ」と評されたのだ。その後、教会の壁画の仕事をこなし、71歳の時ロサンジェルスでその生涯を終えた。




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